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現代版組踊『肝高の阿麻和利』インタビュー

Filed under 1.Artist List, 2.Interview, 肝高の阿麻和利


活動10周年を迎えた『肝高の阿麻和利』
これから先も継承される伝統の現代版組踊

舞台の名曲「肝高の詩(きむたかのうた)」でつながる心
活動の全てを表す誇り高き歌との出会いが変えた運命




【伝統を受け継ぐ『肝高の阿麻和利』】
2000年3月の初公演以来、160回以上公演を行ない、10万人以上の観客を魅了し続けている現代版組踊『肝高の阿麻和利』。平田大一さんが総合演出を務めており、2008年には初の海外公演をハワイで成功させ、沖縄の伝統をアピールした。
『肝高の阿麻和利』が高い評価を受けているのは、決して演技力だけではない。舞台に立ち、熱い想いを持って演じる中高校生の子どもたちの存在がいちばん大きく、一人一人が相手を敬い、思いやる気持ちが強いからこそ、それら全てが舞台に反映されている。
そのことに確信が持てたのは、今年2月の公演を最後に卒業する13名を代表して、平田さんとともにインタビューに応じてくれた9名の高校3年生メンバーに出会えたから。彼女たちの舞台に対する情熱や仲間に対する愛情は想像していた以上に熱く、人としての芯もしっかりしている。それだけ『肝高の阿麻和利』のなかで各ポジションを演じてきた数年の経験は、彼女たちにとってかけがえのないものであり、貴重な時間だったようで、最後に見せた涙や一人一人の想いがそう感じさせた。



【劇中のラストで歌われる「肝高の詩」が持つ意味】

舞台『肝高の阿麻和利』のなかで、観客も口ずさむほど愛されている歌がある。それが、劇中のラストで歌われる「肝高の詩」。この曲は平田さんが作った楽曲で、活動に参加した子どもたちがいちばん最初に覚える歌である。この日インタビューに応じてくれた平田さん、卒業メンバー全員が揃っていちばん好きな曲と話す名曲なのだ。
この曲がみんなにとって、どれだけ大切な曲なのかを聞いてみると、さまざまな答えが返ってきた。「夢を叶えるために勇気が持てる曲」、「舞台に立つみんなが輝ける曲で、みんなで呼吸を合わせて歌う曲」、「嫌なことを忘れられる、テンションが上がる曲」…と、それぞれが曲に対しての想いを楽しそうに満面の笑みで語ってくれたのだった。
そんな卒業メンバーの言葉を聞いて、「え〜、そうなんだ」とうなづきながら聞いていたのは演出家の平田さん。「この曲は中学生が歌いやすいようにキャッチーな英語を使ったり、勝連のマークに込められた海を渡る、大空に夢をのせるという意味合いを含ませています。それに、勝連が持っている空や海のパワーも表現した歌で、誇り高く生きてほしいというメッセージを込めている応援歌でもあるんです。きっと卒業してからの方が、この曲にもっと共感できる日がくるんじゃないかな」と、平田さんは教えてくれたのだった。
演じる子どもたちは変わっても、今までずっと歌い継がれている「肝高の詩」。その年、その年の「肝高の詩」が生まれ、観客に感動を与えている。



【先輩から引き継ぎ、そして次は後輩へ…】
演じる上での注意点や歌に込める想い、そして、仲間とのコミュニケ—ションの取り方など、たくさんのことを先輩から学んできた彼女たち。演技指導以外のほとんどのことは子どもたちに任せていると平田さんが話す通り、各パートのリーダーがしっかり先頭に立って後輩をひっぱり、引き継がれてきた伝統を言葉だけではなく、行動を通して後輩に学んでもらっているようだ。
「稽古を始めた当初は先輩の言っていることが分からなかったけど、今は先輩の言いたかったことがよく分かるようになった。いちばん感じるのは、自分の居場所があるということ。いちばん安らぐ場所になっている」と語ってくれた伊計さん。
そして、神里さんは「ここは学校みたいな場所。自分自身が変われたし、諦めないことを学べた。それに、夢中になれるものもみつけられたし。そんなことに気づける環境を後輩にも作ってあげたいって強く思っています」とも教えてくれた。
先輩から教えてもらったことは後輩にも全部伝えたいし、先輩にしてもらったこと以上に後輩にたくさん伝えたいことがあるそうで、コミュニケ—ションを大切にして、『肝高の阿麻和利』のすばらしさを伝えたいという想いが全員から伝わってきた。



【卒業を迎えて…】
卒業公演まで残りわずかとなり、みんなと過ごす時間が今まで以上に大切になってきている今、メンバーにとって仲間と離れることはつらいこと。公演への意気込みを聞いているときに、今までのことを思い出し涙する子もいた。たくさんの人が見に来てくれるから精一杯がんばりたい…、「一生懸命やったらカッコイイ」という合い言葉を胸に最後の舞台に向けて、がんばっているようだ。
卒業公演に対する想いや意気込みについて仲尾さんは、「卒業公演が終ったらバラバラになっちゃうし寂しいけど、最後はみんなではっちゃけて、お客さんに『よかったね』って思ってもらえるようにがんばりたいです。そして、後輩が行なう公演にも来てもらえるように感動をたくさん与えられる舞台にしたいです」と、涙を流しながら語ってくれた。
そして、平田さんは仲尾さんたちの言葉に返答するかのように「今必要なことをみんなが常に考えている。いいなと思うことはすぐに取り入れてるし。その年、その年にカラーがあって毎回、最高のメンバーだって思うんですよね。そう思わせてくれる。卒業しても、何か嫌なことがあったら、大きな声を出して乗り越えてほしい。乗り越える力をみんな持ってるし、それが阿麻和利のなかで学んだ大きな成果だから」と答えたのだった。その言葉を真剣なまなざしで聞き入る卒業メンバーを見ていると胸が熱くなった。
毎年、最大限の舞台を作り上げている阿麻和利チーム。何度か舞台を見ている人にとっては、一人一人の成長が見える舞台に。そして、初めて観る人にとってはエネルギーを感じられる素敵な舞台になることだろう。すでに卒業公演のチケットは全日程完売しているが、卒業公演を行なう2月19、20、21日に訪れる人は、ぜひ、卒業メンバーの『肝高の阿麻和利』に対する想いを思い出しながら舞台の世界に浸ってほしい。



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